数千年前、
世界が現在とはまるで違う
気候・様相を見せていた頃 ......
凶悪獰猛の種が
猛威を振るっていた
ターム族
なかでも、タームソルジャーは
軍の統率の力で人間を脅かした
これは、
そんなタームソルジャーの
ある一匹の戦記 ......
彼は今日も戦場に立つ
哀しくも勇ましい姿で ......
Romancing Sa・Ga 2 ZERO 前夜祭
タームソルジャー戦記
べちんべちん
……くっ!
ちっくしょう!!
エゴイ:これで313戦、157勝156敗。
オスキツ:もう一度!次こそ、俺が勝つ!
えごい:1日1戦の約束だ。続きは、また今度な。
おすき:でもエゴイは明日、入隊だろ。
えごい:ああ。ついに、オレも兵士だ。武功をあげて、必ず大将軍になってやるぜ。
おすき:お前にはムリだ。大将軍になるのは、俺だ。
えごい:今、オレに負けたのにか?
おすき:お前のほうが、俺より3歳年上だ。3年経ったら、俺はもっともっと強くなってる。
えごい:ふんっ、減らず口だけはいっちょまえだ。
オレがいなくなっても、毎日欠かさず訓練しろよ。次に会った時は、本気を出させろ。
おすき:ふざけんな!
チキータ:……エゴイ……
えごい:なんだ、チキータ?しょぼくれた顔をして、どうかしたのか?
ちきー:ほんとに軍隊なんかに行っちゃうの?
えごい:バカ!チキータ、そんなこと、誰かに聞かれたら、大目玉を喰らうぞ!
オレたちはタームソルジャーだ。兵士になって初めて、種族としての誇りを持てる。
兵士にならざる者は蟻にあらず。オレが軍隊に入れたのは、すごく喜ばしいことなんだぞ。
ちきー:……でも……
おすき:黙れ、チキータ!そんなことで泣くな!弱虫!
俺はこれからハーガの森で多足の化け物を倒しに行く!エゴイ、さよならは言わないぞ!
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それから3年後……
ちきー:エゴイがいなくなって3年……オスキツもいっちゃうんだね。
おすき:俺はめちゃくちゃ強いからな。軍に入って、噂の七英雄とかいう野郎をコテンパンにして出世すんだ。
アドリアナ:チキータ、それにオスキツ……よく聞いて。
ちきー:どうしたの、ママ?
あどり:……エゴイが……エゴイの戦死のお知らせが届いたの。
おすき:……!!!戦死?!エゴイが……死んだ?!
ちきー:……ウソ……ウソでしょ!ねぇ、ママ……ウソだよね!!
あどり:いいえ。本当のことよ。エゴイは立派に戦った。でも、ノエルに殺されたの。
おすき:ノエル……!ノエル……七英雄ノエル!!クソッ!その名を忘れないぞ!
必ず、俺が仇をうってやる!!必ずだ!!!!
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「蟻の穴」
おすき:こ、ここが……兵士養成機関【蟻の穴】か。
女鬼軍曹ウルバノ:そう、ここが【蟻の穴】だ。ここで、地獄の苦しみに耐え抜いた者だけが兵士になれる。
我が輩の名はウルバノ。お前を教育指導する上官だ。
おすき:……ノエルに勝てるのか?
うるば:なに……?!
おすき:七英雄ノエルだ!あんたはノエルに勝てるのか?!
うるば:……私怨か?
おすき:ノエルより弱い奴に指導されても意味がねえ。俺はもっともっと強くなる!
うるば:……良い目だ。はっきり言おう。我が輩は、ノエルには勝てぬ。
だが、お前を瞬殺することはできる。よって、お前はまず、我が輩を超えねばならない。
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うるば:統率こそ、兵法の基本!規則正しく、美しい隊列を組むのだ!
オスキツ!出遅れておるぞ!周りと動きを合わせろ!
タームの整然たる行動こそ、脅威!一度敵を呑み込んだら、決して放すな!戦列に巻き込み、骨までしゃぶれ!!
おすき:……くそっ!こんなものになんの意味があるんだ?俺は戦いたい!強くなりたいんだ!
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美しい隊列を組むと…
上空から写された隊列は
「蟻」
文字になっていた
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巨大な岩を持ち上げるオスキツ
うるば:どうした、オスキツ。その程度の岩を背負えぬようではノエルになど到底勝てぬぞ
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それから2年後……
ハビ:オスキツ兵長……新兵初陣、緊張しますね。
おすき:気を引き締めろ。教課のひとつだが、これは実戦だ。何が起きるか、わからんぞ。
うるば:オスキツ、集落の襲撃にあたり、お前が先陣を切れ。ニンゲンどもの喉を食い破れ。
おすき:わかりました。みんな、いくぞ!俺についてこい!!
穴から飛び出るオスキツ
\アリだー!/
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はび:オスキツ兵長……どなたからのお手紙ですか?
おすき:…チキータという女からだ。
はび:うおっ!恋人ですか!
おすき:ただの幼馴染だ。
はび:またまた!うらやましいなあ。故郷に置いてきた許婚とか、そんななんでしょ。
おすき:結婚するそうだ。
はび:へ?
おすき:そりゃ、まあ……そうだよな。4年も5年も待つ女など、いるわけがない……
はび:兵長……
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エゴイの墓
ジョーバー:許可はとったのか?
おすき:……ジョーバー!なぜ、ここに?
じょー:ウルバノ軍曹に使いを頼まれた。町で、お前を見かけたんでね。
おすき:尾けてきたのか?
じょー:……知り合いの墓か?
おすき:お前には関係ない。
じょー:僕の母は……七英雄ボクオーンに殺された。
おすき:……七英雄だと!
じょー:父が遠征で不在の時だった。母は僕を逃がすために、命を落とした。
帰還した父は、母の亡骸を抱き、「守れなくて、すまん」……と。そしてまた、戦地に旅立った。
僕は絶対にボクオーンを許さない。
いや、七英雄などともてはやされて、調子に乗っているクソども全員を、必ず、この牙で切り刻んでやる!
おすき:ジョーバー……
じょー:以前……お前に、「叶わぬ夢を見るな」と言った。……悪かったな。
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数年後……
オスキツと配下の面々がずらずらと
じょー:ついに、この時が来たな。
おすき:……ああ。この近くに、ノエルが潜んでいる。
じょー:だが我々はあくまで支援部隊だ。戦闘そのものは、あくまで前線と中堅に任せ、任務に徹するべき……
なんてことを、お前が聞くわけないか。だが、お前はもはや百人隊長、軍令違反の罰は一兵卒の時とは違うぞ。
おすき:この時を、ずっと待っていた。今、俺のすぐそばに奴がいる。エゴイの仇!七英雄ノエル!!
全軍突撃!!!!!
オスキツ率いる一隊が進む
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オスキツ!
おすき:チキータ!お前か?!
ちきー:オスキツ!!
おすき:なぜ、ここに?!
ちきー:この村は、嫁いだ夫の生まれ故郷なの……
おすき:こんなところに、ひとりでいたら危ない。ダンナは、どこだ?
ちきー:去年、隣村の戦いで死んだわ。
おすき:……。とにかく、ここは危険だ!すぐそこに、ノエルが来ているんだぞ!
じょー:オスキツ!!ノエル発見の知らせだ!!ついて来い!!
おすき:……チッ!チキータ、巣穴の奥に隠れていろ!俺が戻るまで、絶対に動くなよ!!
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チキータ!どこだ?!戻ったぞ!
じょー:情報が錯綜している!不確定な報告は排除しろ!ノエルはどこだ!!
オスキツ、女に構っている余裕などない。さっさとしろ!
チキータが倒れている様子
おすき:チキータ!!!
じょー:……
おすき:チキータ……ノエルか?ノエルに殺されたのか?
じょー:いや、この槍は、ニンゲンの一般兵のものだ。
おすき:違う!!ノエルだ!!エゴイもチキータもノエルに殺された!奴だ!奴が俺からすべてを奪った!
じょー:落ち着け、オスキツ……
チキータを抱き上げるオスキツ
おすき:チキータ、守れなくて、すまない……
ニンゲンが七英雄などと呼び、ヒーロー扱いする奴ら……
若い七英雄の面々
おすき:七英雄……この俺が葬ってくれる!
ジョーバー、ノエルを追うぞ!地獄の底までも!!