前編
暗黒(エレボス)の三姉妹、
来たれり
暗黒の衣が
太陽を闇で覆い
死の星の化身たる者は
目覚める
ほーく:セルマはまたケープの海岸か?海は眺めるもんじゃねえ。挑み、支配するものだ。
えめら:自分の手で父親を殺したのよ。哀しみと苦しみに臥せるのは当然じゃない。
ほーく:俺はそんな育て方はしてねえ。俺に奴を預けた時、皇帝さんは言った。
セルマはいずれ皇帝となり、勇猛豪傑の家臣たちを率い、【破壊するもの】を倒さねばならぬ。
強く、たくましく、正しく、勇ましき心を養ってくれ、ってな。
ぶっち:姫を育てたのは、俺だ。おめえは年中どっか行って砦を空けてたじゃねえか。
ほーく:うるせえ!そりゃあ、おめえが戦力にならねえからだ!俺は船団を率いて戦ってたんだ!
きりかわり
きゃっ:皇帝さんが死んじゃったなんて、まだ信じられないよ……この先どうしたら……
ほーく:嘆いている暇なんて無え。クリスタルシティが得体の知れない魔物に襲われた。
きゃっ:クリスタルシティって、あのブラックプリンス率いるローザリア軍?!
ほーく:ローザリアが陥落すれば、これ以上の奪還も魔物征伐も不可能になっちまう。
せるま:クリスタルシティに行こう。
ほーく:セルマ!……お前、まだ落ち込んでるそうじゃねえか。キャプテンが半端者じゃ、船は沈むぜ。
せるま:あたしはもう大丈夫。ホーク、出撃の準備を。ローザリア軍を救わなきゃ。
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ほーく:セルマ、隊列の後ろが騒がしい。ちょっと、見てくらあ。
きりかわり
ほーく:嘘だろ?!まさか、黄金の奴、これ全部、多次元から連れて来たのか!?
きゃっ:だーっ!なんで、私があんたらに頭下げなきゃならないわけ?!
多次元のキャットたち:黄金の帝王の術から解放されたからって、あんな小娘の家臣になったわけじゃない。
どうしてもと頭を下げて頼み込むなら、考えてやらないわけでもないけどね。
きりかわり
きゃっ:全員でいっぺんに喋んないで!
えめら:セルマ様を小娘呼ばわりとは……燃えたぎる火焔で教育してさしあげましょう。
きゃっ:セルマは皇帝なのよ。なんで、あんたたちなんかに頭下げなきゃならないのよ。
せるま:お願い。あたしに力を貸して。今のあたしは、まだ弱い。みんなの力が必要なの。
えめら:……セルマ様……
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ほーく:黄金の帝王は討たれた。だが、これは……なんだ?!魔物の数が半端ねえぞ。
えめら:数も脅威ですが、個体の凶悪さが増しています。我らが知っているオーガとはまるで違う……
あいし:【破壊するもの】が目覚めるわ。ニーサの声が聞こえる。
ほーく:ニーサの声?なんだ、そりゃ?
えめら:アイシャは私たち人間とは違う、大地の女神ニーサの子……特別な力を持つの。
あいし:【破壊するもの】が放つ闇から生まれたエレボス(暗黒)の三姉妹が来る……急がないと……殿下が……!!
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せるま:アイシャ、エレボス(暗黒)の三姉妹って、なんなの?
あいし:【破壊するもの】が放つ闇から生まれた新たな魔物よ。
ガス(気体)、ソリッド(固体)、リキッド(液体)……三姉妹それぞれが特別な力を持つの。
ほーく:そいつがこの先に待ち構えてるってわけか?
あいし:殿下の力をもってしても彼女を倒すことはできない。神にも匹敵する、とても凶悪な力よ。
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ほーく:なんだ、この地鳴りは?!クソッ、立ってられねえ!!
せるま:みんな、来るよ!
きゃっ:来るって、なにが?!
せるま:みんな、守備陣形を築いて!
まともにぶつかっちゃダメ!攻撃しつつ、退路を確保!ボルカノ、ベアにガードリングを!
サイクロプスがきたー!
ほーく:くっ!こいつは厄介な敵だぜ。セルマ、お前がキャプテンだ。この場をどう切り抜けるか、決めろ。
たじげ:ここは私たちに任せて、先に進んで。
あんな素直に、頭下げて頼み込まれたら、手を貸すしかないもんね。
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ほーく:どうした、セルマ?後ろが気になるのか?
せるま:ううん、ただ……キャットたち、大丈夫かな?サイクロプスの群れが相手じゃ……
ほーく:ふんっ!やっぱり、お前はまだ半端者のキャプテンだ。皇帝さんにはなれねえようだな。
自分の命令ひとつで、下の者が血を流す……下手すりゃ死ぬ。そいつを覚悟しなきゃならねえ。
人の上に立つってのはそういうことだ。皇帝なんていうのは、百万の命を背負わなきゃならねえ。
せるま:うん……わかってる。
ほーく:俺たちは、お前を船長と決めた。お前のためなら、いつでも死ぬ覚悟はできている。
ブッチャー以外は、な。
せるま:ホーク……ありがとう。
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ほーく:待て、セルマ!……誰か、来る。……なんだ?衛兵か?
あいし:ちょ、ちょっと……!血だらけだよ。大丈夫!?
えいへ:私はローザリア王国、第六軽装歩兵騎士団の者だ。皇太子様からの御伝言だ。
「ローザリアには近付くな。エレボス(暗黒)に会えば、待ち受けるのは死だけだ」と。
ほーく:エレボス(暗黒)……?アイシャ、お前が言ってた奴か?
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エモエモ:オレ、オマエの嫁、盗んだ。すまんかった……オレ、最低。殴ってくれ、殺してくれ。
クヌクヌ:わいも、お前の嫁を寝取った。わいはウジ虫以下のゴブリンだ。さあ、殺せ。ぶち殺せ。
ベグベグ:でも実は、オメエらの嫁は二人ともオラの女なのだ。オラを好きなだけ痛めつけろ。
きりかわり
オライオン:こいつら、なにやってんだ?急にペコペコ、反省し始めたぜ。
バイメイニャン:こいつは……奴の仕業だね。エレボスのガス(気体)が、一帯の空気を毒に化えちまった。
この毒は、人の心の奥に在る後悔や阿責、懺悔の念を膨張させちまうのさ。
完全に毒が全身に回れば、罪悪感が心を支配し、生ける屍になっちまうだろうよ。
ほーく:セルマ、どうする?このまま進むか?それともここはいったん退くか?
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レオニード:女皇、見たところ……毒に侵されたようですな。
せるま:レオニード、お願い、ホークには黙ってて。……心配かけたくない。
れおに:二人だけの秘密……ですね。いいでしょう。でも、ひとつ条件があります。
せるま:なに?
れおに:万が一、毒に負けてしまったら、……あなたを頂戴したい。あなたの血を……私に。
せるま:毒に屈すれば、あたしはそこまで。皇帝の資格は無い。その時は……好きにして。
きりかわり
れおに:あの女の娘だ……とても貴重な、重要な血だ。なんとしても、手に入れたい。
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くもふわ~エレボス登場
エレボスとの戦闘・・・
なぜか白銀と黄金が登場して勝利する
せるま:父上……?!
こうて:なぜ、毒に?なぜ、罪の意識を持つ?
お前は私を殺すことで私を生かした。……そう告げたはず。信じられぬか?
せるま:………
こうて:セルマ……お前のなかには、ふたつの魂が宿る。
ひとつは黄金色の光を放つ……絶望を知った者でしか持ち得ぬ崇高なまでの孤独の魂だ。
そしてもうひとつは、父の魂。お前は、光と闇を併せ持つ。ゆえに、お前は……強い。
迷うな、セルマ。自身を持って、進め。お前は必ず打ち勝つことができる。
お前は闇と光をつなげる存在……共に、お前の力にできる。
白銀と黄金がふわわ~
セルマ……
お前を見守っている。
後編
ローザリア皇太子ナイトハルトと
結託したセルマは
拡大した軍を率い
アビスの核【コア】に
進撃した
【破壊するもの】の
目覚めを食い止めるため、
セルマは進んだ
だがそれは、今のセルマには
背負い切れぬ重荷、
死を決定付ける役目であった
セルマに忍び寄る死の影……
そして、
それを見つめる女の影……
ナイト:セルマ、【破壊するもの】はこの先のアビスの核【コア】に在る。
だが、そこに到達するのは難しい。必ず、エレボス(暗黒)の三姉妹が立ち塞がる。
あいし:【破壊するもの】の闇より生まれたエレボス(暗黒)の三姉妹は、私たちを根絶やしにするつもりよ。
彼女たちは今、喉を焼くような渇きに襲われている。渇きを癒すのは、私たちの死だけ。
ほーく:四の五の言ってても仕方ねえ。奴らと戦り合えるのは、俺たちだけしかいねえんだ。
きりかわり
ばいめ:じゃが、その「イイ男」が言うように、アビスの核【コア】に行くのは並大抵なことじゃないぞ。
核【コア】に近付くほど、渦巻く闇が時空を歪め、幾重にも連なる偽りの道を生んでいるのじゃ。
迷い込めば、決して出られぬ。あたしたちは闇に堕ち、最後の一人になるまで殺し合うことになる。
くろで:道案内は、私とシルベンとブラウが。闇に覆われた森に射す一条の陽光、私たちにはその光を探す力がある。
せるま:ガイドはクローディアに任せる。みんな、全力で行くぞ。遅れを取るな!
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せるま:今のも、充満する闇が見せる幻か?
えめら:ええ。皇帝様は……もういません。セルマ様の父上は亡くなられた。我らが倒したのは、魔物です。
きゃっ:……でも、本物みたいだった。本物の皇帝さんみたいだったよ。
えめら:キャット、家臣であるあなたが情に揺さぶられてどうするの。しっかりしなさい。
せるま:エメラルド、あたしは大丈夫。父上は死んだ。私が殺した。その事実はもう、変えようがない。
でも、わかったの。父上は消滅したわけじゃない。ここに……この胸に刻まれた。
死は「終わり」じゃない。きっと、あたしの死も誰かと繋がる。それも、そんなに遠くないのかも……
えめら:……セルマ様???
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???:まさか、こんなにも早く、エレボス三姉妹がセルマを見つけてしまうなんて……
これは、私が知る過去とは違うわ。定められたはずの「かつて」の真実が歪められていく……?
ひいろ:白銀の皇帝を救うため、あなたが時空間を越えた時点で、すでに定めは変えられてしまった。
???:まだ早いわ。今のセルマでは到底……!でも、私はもう次元を超えられない。
どうすれば……秘められた力を伝えることもできない。
ひいろ:肉体が無理ならば、声のみでも届ける。かつてあなたの力を目覚めさせた、二人の術師の力を借りる。
???:二人の……術師?
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ほーく:待て、セルマ!エアが闇に侵された!イザベラを襲ってやがる!
こうなりゃ、はっ倒すしかねえ!ザ・ドラゴン!エアを蹴り潰せ!!!!
どらご:うらはあぁっっっっ!!!!!
きりかわり
ほーく:チッ!エアは置いて行くしかねえ。帰りに拾うとするか。
これで何人目だ?これじゃあ、核【コア】に着く頃には、数えるほどしか残ってねえぞ。
くろで:一歩前進するごとに、闇が深く、濃くなっていくわ。このままでは、闇に負けてしまう。
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???:私を開眼させたのはお前たちだった。お前たちとの戦いが、私の力を目覚めさせた。
だが、あの子はまだ力を持たない。今戦えば、エレボスに倒される。セルマに奥義をマスターさせなければ。
ぼるかの:俺たちにどうしろと?
???:お前たちの術の力で私の声をセルマに届けて欲しい。
うんでぃーね:声を……届ける?次元を超えて?
ぼるか:悪いが、俺の目録にはそんな術は見当たらない。
???:お前一人では無理でも、ウンディーネと連携すれば可能だ。
うんで:この男と連携?!それはちょっと、無茶な相談だわ。
ぼるか:それは、こっちの台詞だ。セルマ、自身を救いたければ自身の力の範囲内でやるんだな。
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べあ:……はぁ、はぁ、はぁ……ボルカノ、何体、殺った?
ぼるか:一々、数えていない。
べあ:転がっている屍体を見る限り、お前はざっと見積もって300程度。俺は544。俺の勝ちだな。
ぼるか:そんな下らん勝負を受けたつもりはない。さっさと片付けて、本隊と合流するぞ。
べあ:フンッ、相変わらず、つまらん野郎だ。
ぼるか:つまらなくて結構。お前に面白がられたら、不幸だ。……ん?!!
べあ:なんだ?!
ぼるか:今……何か、聞こえた。脳に直接語りかけてくるような…………何者だ?!
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ぼるか:今……何か、聞こえた。脳に直接語りかけてくるような…………何者だ?!
ぼるか(別次元):どうやら、うまくいった。俺の声は、次元を超えて、俺自身に届いたようだ。
うんで:結局、引き受けるわけ?
ぼるか(別):あいつは、一応は主だ。主の命令は聞かねばならぬ。
うんで:だったらなぜ、一度は求めを拒んだわけ?
ぼるか(別):貴様と連携したところで、求めに応えられるか否か、わからなかったからな。
うんで:どうでもいいけど、あんたって面倒くさい男よね。
ぼるか(別):………
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エレボス三姉妹との戦闘シーン。やられちゃいます
そりっど:我らは【破壊】より生まれし【暗黒】、エレボスの三姉妹……。セルマ、赤子の如き貧弱な皇帝よ。
お前は非力、脆弱、劣悪……お前のような者が、我々に刃向かうとは片腹痛いわ。
りきっど:もしかして、勝てるとか思っちゃったりしたのかな~?だとしたら、ほんとにおバカだよね。
がす:貴様らは皆殺し……肉体は……塵ひとつ残さぬ。すべてを気化し、昇華する。
きりかわり
ほーく:なんだ、こいつらの強さは……!?俺のメガホークがまったく効かねえ。
せるま:ホーク、奴の言うとおりかもしれない。
あたしは……無力だ。……撤退しよう。
ほーく:だったら、お前が命令しろ。それが、キャプテンの務めだ。
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せるま:ホーク!!後方でアガタが魔物に……!救援を!!
ほーく:ダメだ!支援に向かえば、追撃の群れを振り払えなくなる!ついてこられない野郎は捨て置け!
せるま:そんな……!!
ほーく:まだわからねえのか?!
戦いのなかでも、撤退戦は最も過酷で凄惨な戦術だ。お前はそれを選び、俺たちに課した。
キャプテンの命令は絶対だ。その絶対によって何が起ころうと、キャプテンは受け止めなきゃならねえ。
ぴかっ★
ほーく:なんの光だ?!!
くろで:シルベン……!!いいえ……森と獣たちの神、エリス神……
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せるま(別次元):ボルカノとウンディーネ、そしてエリス神の御力に助けられ、ようやく、お前とつながった。
セルマ……お前は成長しなければならない。それも、今すぐに……
でなければ、お前はすべてを失う。お前にとって、何より大切な、父から受け継ぎし家臣たちを失う。
せるま:……成長?
せるま(別次元):家臣の力が、お前の力……家臣を信じ、心を預けろ。それだけで、秘めた力は目覚める。
ぴかぴかー犬!?
せるま:ホーク、撤退は止めだ。再び、進撃開始だ!
ほーく:なに?!
せるま:いくぞ!!!
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りきっ:まさか、引き返してくるなんて。あんまりやられすぎて、おかしくなっちゃったのかな~?
がす:今度こそ逃がしはせぬ……猛毒と化した大気を喰らえ。魂をも昇華させてくれよう。
そりっ:侮るな……どうやら、先ほどとは目が違う。燃えるような目、敗者の士気ではない。
せるま:あたしは……無力だ。無力だかせ、家臣の助けが要る。
家臣の力が、あたしの力……家臣を信じ、心を預けろ。心を預けろ……心を……
せるま(ぼわわ):【落花流水】……それが私の……お前の真の奥義。
散る花は流水で流れ去るを求め、流水は落花を乗せて流れるを欲す。自然な心の求めが、絆を生む。
悩みも迷いも捨て去り、家臣を信じ、求めてみなさい。セルマ、家臣の力を我が物とせよ。
せるまがぴかかーん