種族を問わず、
生きとし生きる者
すべての頂点に立つ者を求めた
強き肉体と強き魂
超然の存在としての覇者
強者のなかの強者を求めた
その男は、
真の強者を求めた
その男は
完全無欠の王者を決するため
自らの城で武闘会を開催した
男の名は……
ツヴァイク公
始めぇ~い!
そして今、母を救うため、
ツヴァイク武闘会に
夢馳せる者がいた
目指せ!ツヴァイク武闘会!
めどぅ:なあ、ちゃんと見てくれよ。そこの道で拾ったんだけどさ、これ宝くじってやつだろ?
フェイ、人間の町に行って調べてきてくれよ。当たってたら、1割あげるからさ~。
ふぇ:キッカ、ほんとうに行くつもり?禍々山に登るには、忌まわしき森を抜けなければならないのよ。
きっ:わかってる。でも、ほかに方法が見つからないの。
お母さんの病はとても重いものなの。助けるには、すごく高額な薬が要る。なんとかして、お金をつくらなきゃ。
ふぇ:でも、あなたはダンサーのなかでも術の覚えも悪いし、そもそも魔力自体が低いから……
戦闘向きのタイプじゃないわ。あなたがツヴァイク武闘会だなんて、夢のまた夢よ。
きっ:わかってる!……わかってるよ。でも、やらなきゃなんないの。
強くなって、武闘会で優勝して、賞金でお母さんを助けないと……それにはまず禍々山に登らなきゃ!
めどぅ:どうやら本気みたいだね。キッカ、アタシが途中まで道案内してあげるよ。
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めどぅ:禍々山で修練を積む伝説の武道家ミヤジ……か。そんな奴、ホントにいるのか?
きっ:信じるしかないよ。ミヤジの弟子になれなきゃ、武闘会で優勝できないし。
めどぅ:キッカ、悪いけど、この先はさすがのアタシも一緒に行けない。森は魔物の巣窟だ。気をつけろ。
きっ:ありがと。一緒について来てくれて。今度会う時は、一族で一番、ううん、最強の魔物になってるからね。
めどぅ:ああ。楽しみにしてるよ。
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あらく:迷い込んだわけではなさそうね?この邪悪の力が宿る森にどんな用があって?
きっか:森に用はありません。森の向こう、禍々山に住む武道家のもとへ。
あらく:禍々山?かわいらしい顔して冗談が過ぎるわ。あの山には魔神が住むのよ。
万が一、この森を抜けられても禍々山に足を踏み入れた途端あなたの首と胴は離れるわ。
きっ:でも……わたしにはもう、命を賭ける以外にほかに差し出すものがないんです。
あらく:……なにか事情があるようね。いいわ。私もついていってあげる。きっと、力になれるわ。
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ヴぁな:アラクネ、自分のテリトリーをほっぽり出して、どこらお出かけ?
あらく:あなたには関係ない。ここを通してもらうわ。
ヴぁな:そこにいるのは、ダンサーのようね?そんな下級の妖精を連れてどこへ行こうっていうの?
きっか:禍々山のミヤジのもとに。あの悪魔の王アスラが自らの牙城を差し出したほどの人物です。
ヴぁな:へえ~面白そうね。ちょうど退屈していたところなの。一緒に行くわ。
きっか:ほんとですか!とても心強いです。
あらく:ちょっと、キッカ!ヴァナディースはダメよ。こいつはすごく危険な奴なの。
ヴぁな:危険な山に立ち入るんだから少しぐらい危険な魔物を仲間にしとかないと、命を落とすよ。
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みやじ:ほほ~う、私の一番弟子を倒すとは、あなた方、なかなか見所がある。
きっか:も、もしかして、あなたが伝説の武道家ミヤジ……!
みやじ:ほほ~う、私をご存知ですか。これはまた、聡明なお方です。いかにも。私がミヤジです。
きっか:お願いします!私を弟子にしてください!武闘会で優勝したいんです!
みやじ:ほほ~う。まっすぐな方ですね。では私もまっすぐに答えます。
お断りします!
きっか:え?!なんでです?!さっき、見所があるって。
みやじ:私にはもう、弟子がいます。二人はとらないと決めています。
なので、私の弟子の弟子、すなわち蛇女の弟子になるならここに置いてあげましょう。
へび:ちなみに、私の弟子はかれこれ10人ほど、外の氷の柱のなかで永遠の眠りについているわ。
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半年後……
きっか:すいません、蛇女さん!あの~、いつになったら訓練に入るんでしょうか?
この半年、ずーっと窓拭きとペンキ塗りばっかりで。これじゃあ、強くなれません!
へび:嫌だったら、やめる?やめてもいいのよ。荷物まとめて山を降りたら?
きっか:以前お話した通り、私は母の薬代を稼ぐために、武闘会で優勝したいんです。
こんなことをしてる間にも、母の病状は進む一方で……だから、時間がないんです。
みやじ:ほほ~う。でしたら、そろそろ実戦に移りましょう。黒檀の沼にお行きなさい。
きっか:黒檀の沼?
みやじ:むちゃくちゃ強い魔物がうじゃうじゃいます。
生きて帰ってこれたら、この私が直々に稽古をつけてあげますよ。
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さらに1年後…
みやじ:ほほ~う。帰りましたか。あれから1年。優秀です。3年はかかると思ってました。
きっか:13回ほど、死ぬかもって思う場面に遭遇し、そのうち3回はたぶん、死にました。
みやじ:ほほ~う。でも、あなたは生きている。死地を知らぬ者は戦士ではない。
きっか:約束どおり、生きて帰りました。先生、稽古をつけてください。私にはもう時間が……!
みやじ:いいでしょう。道場は山の頂上。私は先に行きますので、後を追ってきてください。
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あらく:あれからもう、ひと月よ。なのに、襲い来る魔物のせいでほとんど進めてないわ。
きっか:アラクネ、ごめんね。私のせいで、こんなことに巻き込んじゃった。ほんとに、ごめんなさい……
あらく:弱気にならないで、キッカ。私は好きであなたと一緒にいるの。嫌だったら、とっくに放り出してる。
きっか:ありがとう、アラクネ……。ヴァナディースも蛇女も、一緒に来てくれて、ありがとう。
へび:なんにしろ、まだ中腹あたりね。この先、頂上に近づくほど、とてつもない魔物が潜んでいる。
きっか:力を合わせれば、きっと、どんな魔物も倒せるはず……!さ、みんな、行こう!
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それからさらに1年後……
みやじ:ほほ~う。みなさん、とても良い面構えになりました。戦士の顔です。
きっか:先生、1年以上かかったけど、ついに道場に着きました。……稽古を!!
みやじ:稽古は以上でおしまいです。
きっか:…え??おしまいって……??
みやじ:教えられることはすべて教えてしまいました。
きっか:でも、まだなにも……
みやじ:最初の半年間は、窓拭きとペンキ塗りで、防御の型を……
それから数年は、黒檀の沼、この山頂への道、実戦で学んだはずです。
もうあなたは強い!!!
さ、いよいよ力を試す時です。お行きなさい、ツヴァイク武闘会へ。
きっか:せ、先生……ありがとうございました!!
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めどぅ:キッカ!!帰ったのか!
きっか:メドゥサ、お母さんは?!どこにも姿が見当たらないの!もしかして……!?
めどぅ:心配するな。アンタの母さんは今、元気に花を摘みに行ってる。もう、身体は心配ない。
あれからいろいろとあってな。拾った宝くじが大当たり、で、その金で薬を買うことができた。
きっか:……え??!
めどぅ:それでキッカ、アンタ、少しは強くなれたのか?
きっか:いや、強くはなれたと思うけど、……それじゃ私、もう、お金を稼ぐ必要がない……ってこと?
めどぅ:ま、そういうことになるな。
きっか:………だよね。
あらく:良かったわね、キッカ。これで、純粋に自分の力を試すために武闘会に参加できるわ。
武闘会には、アスラ道場と呼ぶエリアで鍛錬を積んだ人間たちがたくさん参戦するらしいわ。
さ、キッカ、おもいっきり人間どもをねじ伏せてやりましょう!
きっか:うん!!
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キッカ:ついに来た……この扉の向こうで、最強の戦士を決める戦いが繰り広げられてる。
へび:名前……どうするの?
きっか:名前って?
へび:武闘会に出場するには、私たちのチームの名前を決めないと。
めどぅ:ま、強さから言うと、【メドゥサとその手下たち】とかが一番しっくりくるチーム名だろうな。
きっか:私たち、女ばっかりだし、【超女軍団】っていうのはどうかな?
めどぅ:お前、それ本気で言ってるのか?【超女軍団】なんていう、ダサい名前になるなら、アタシは抜ける。
へび:ま、参戦登録時までに決めましょう。
結成!超女軍団